2026年 冬季五輪の競技
ノルディック複合(英語:Nordic combined)は、スキー・スノーボードに分類される冬の競技です。主な種目は個人、団体、チームスプリント、混合団体。試合の形式はグンダーセン、コンパクト、マススタートがあります。
ジャンプとXCを組み合わせる競技。世界選手権・W杯の女子種目も扱い、五輪の実施範囲に限定しない。
ノルディック複合はどんな競技か
ノルディック複合は、スキージャンプとクロスカントリースキーの2つを1人でこなす競技です。前半にジャンプで飛び、後半にクロスカントリーで走ります。最後に先にゴールした人が勝ちです。日本の報道では「スキー複合」とも呼ばれます。
ジャンプには、こわさに負けない度胸と、空中での細かい技術が必要です。クロスカントリーには、長い距離を走り切る体力が必要です。まったくちがう2つの力を求められるため、優勝者は「キング・オブ・スキー」と呼ばれます。
この競技は、ノルウェーで生まれました。冬季五輪では、第1回の1924年シャモニー大会から行われています。2026年まで、ずっと男子だけの競技でした。
日本とノルディック複合
ノルディック複合は、日本が世界の頂点に立った競技です。1992年のアルベールビル五輪と、1994年のリレハンメル五輪で、日本は団体で2大会続けて金メダルを取りました。荻原健司さんは、ワールドカップで3シーズン続けて総合優勝しました。
その後も、渡部暁斗選手が世界のトップで戦い続けました。五輪では、2014年ソチ大会と2018年平昌大会の個人ノーマルヒルで銀メダル、2022年北京大会の個人ラージヒルと団体で銅メダルを取りました。2017-18シーズンには、ワールドカップの総合優勝も果たしています。
種目とルールのくわしい説明
グンダーセン方式
いまの主な種目は「グンダーセン方式」で行います。まずジャンプを飛びます。ジャンプの点数の差を、クロスカントリーのスタート時間の差に置きかえます。ジャンプで1位の選手が最初にスタートし、ほかの選手は点差に応じて遅れてスタートします。
個人種目では、ジャンプの1点がクロスカントリーの4秒になります。たとえば、トップと15点差なら、1分遅れてスタートします。こうすると、クロスカントリーでは先にゴールした人が、そのまま1位になります。とても分かりやすい仕組みです。
おもな種目
| 種目 | どんな形式か |
|---|---|
| 個人ノーマルヒル | ノーマルヒルのジャンプ台で飛び、10キロを走る。 |
| 個人ラージヒル | 大きいラージヒルのジャンプ台で飛び、10キロを走る。 |
| 団体スプリント | 2人1組で飛び、2人で交代しながら走る。2026年の五輪では、ラージヒルと2人で7.5キロずつの形式で行われた。 |
| 団体 | 4人1組で飛び、4人でリレーして走る。 |
| 混合団体 | 男女の選手が組んで戦う。世界選手権などで行われる。 |
| マススタート | 先に全員でいっせいに走り、そのあとジャンプを飛ぶ。走りのタイムとジャンプの点を合わせて順位を決める。 |
クロスカントリーは、フリー走法(スケートのように板をけり出す走り方)で走ります。2026年の五輪では、個人ノーマルヒル、個人ラージヒル、団体スプリントの3種目が行われました。
見どころ・観戦のポイント
前半のジャンプで流れが決まる
ジャンプでいい点を取ると、クロスカントリーを前のほうからスタートできます。ジャンプが得意な選手は、ここで大きな貯金を作ります。走りが得意な選手は、少しでも差を小さくしておきたいところです。
後半は追いかけっこ
クロスカントリーは、前を逃げる選手と、後ろから追う選手の追いかけっこです。後ろの選手が集団を作って、協力して追いつく場面もよくあります。テレビでは、トップとの差が秒で表示されます。この差がちぢまっていくかどうかに注目すると、楽しく見られます。
ゴール前のスプリント
集団のままゴール近くまで来ると、最後は短い距離のスプリント勝負になります。写真判定で順位が決まることもあります。
用具と会場
選手は、ジャンプ用とクロスカントリー用で、まったくちがう板と靴を使います。ジャンプの板は長く幅が広いです。クロスカントリーの板は細くて軽いです。1日のうちに、2つの道具を使い分けます。
2026年の五輪では、ジャンプはプレダッツォのジャンプ台、クロスカントリーはテーゼロのコースで行われました。2つの会場は、10キロほど離れています。
2026年ミラノ・コルティナ五輪の結果
日本選手
| 種目 | 日本選手の順位 |
|---|---|
| 個人ノーマルヒル(2月11日) | 渡部暁斗 11位(日本勢最高)/山本涼太 15位/谷地宙 23位 |
| 個人ラージヒル(2月17日) | 山本涼太 15位(日本勢最高)/渡部暁斗 19位/谷地宙 21位 |
| 団体スプリント(2月19日) | 日本(渡部暁斗・山本涼太) 6位 |
個人ノーマルヒルの渡部選手は、前半のジャンプで100メートルちょうどを飛び、11位につけました。クロスカントリーでも順位を落とさずにゴールし、写真判定で11位でした。本人は「これが今の実力かな」と話しました。
団体スプリントには、2025-26シーズンかぎりで引退する渡部選手と山本選手が出ました。2人は先頭の集団に食らいつきました。しかし終盤、山本選手が前で転んだ選手と交錯する不運もあり、6位でした。日本の複合を長く引っぱってきた2人にとって、最後の五輪となりました。
オフテブロが3冠
3種目すべてで金メダルを取ったのは、ノルウェーです。ノルウェーのオフテブロ選手が個人の2種目で優勝し、団体スプリントも勝って3冠を達成しました。団体スプリントの2位はフィンランド、3位はオーストリアでした。
女子と、五輪からの除外
ワールドカップや世界選手権では、女子のレースも行われています。日本の葛西優奈選手は、2025年の世界選手権の女子個人で金メダルを取りました。双子の妹の葛西春香選手も銅メダルでした。2人は札幌市の出身です。
しかし、女子のノルディック複合は、2026年の五輪にも入りませんでした。2026年1月には、女子の選手たちがワールドカップの会場で、ストックを「X」の形に交差させて抗議しました。葛西優奈選手も加わりました。
さらに2026年7月、国際オリンピック委員会(IOC)は、2030年のフランス・アルプス冬季五輪でノルディック複合を行わないと決めました。人気が伸びていないことや、女子の種目がないことが理由とされています。報道によると、IOCが調べた14の人気の指標のうち、ミラノ・コルティナ五輪では11の項目で最下位でした。第1回の五輪から続いてきた競技が、五輪から外れることになります。全日本スキー連盟の河野孝典競技本部長は「残念の一言」と話しました。
2026-27シーズンの見どころ
ワールドカップは、2026年11月下旬にフィンランドのルカで男子が開幕します。12月にはノルウェーのトロンヘイムなどで、男女のレースが行われます。
2027年には、スウェーデンのファルンでノルディックスキー世界選手権が開かれます。五輪から外れることが決まったあと、最初の世界選手権です。渡部選手と山本選手が引退したあとの日本の男子と、世界の頂点を知る葛西姉妹の女子が、どんな戦いを見せるかが注目です。
よくある質問
Q. ジャンプとクロスカントリーは、どちらが大事ですか。
A. どちらも大事です。ジャンプが良くても、走りで抜かれることがあります。走りが強くても、ジャンプで大きく遅れると追いつけません。両方のバランスが勝負を決めます。
Q. どうしてスタートの時間が人によってちがうのですか。
A. ジャンプの点の差を、時間の差に置きかえているからです。こうすると、クロスカントリーで先にゴールした人が1位になり、見ている人にも分かりやすくなります。
Q. 2030年の五輪では、本当に行われないのですか。
A. 2026年7月のIOCの決定で、2030年の大会では行わないことになりました。ワールドカップや世界選手権は、これからも続きます。
解説の出典
- Wikipedia Nordic combined at the 2026 Winter Olympics
- FIS ノルディック複合
- 全日本スキー連盟(SAJ)
- 秋田魁新報(共同) 複合男子団体スプリントは6位
- デイリースポーツ 渡部暁斗は写真判定で11位
- デイリースポーツ ノルディックスキー複合が30年冬季五輪除外に
- 北海道新聞 スキー複合強国から一転、競技継続に危機感
- 秋田魁新報(共同) 五輪除外に抗議の「X」 ノルディックW杯複合女子
- 北海道新聞 世界選手権複合女子、双子で快挙 葛西優奈選手・春香選手
- Wikipedia 2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックの日本選手団
ノルディック複合のこれからの大会
| 日程(現地) | 大会 | 開催地 | 案内 |
|---|---|---|---|
| 11月26日(木)〜29日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男子 |
ルカ(フィンランド) | 公式の案内 |
| 12月3日(木)〜6日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
トロンハイム(ノルウェー) | 公式の案内 |
| 12月10日(木)〜13日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
バル・ディ・フィエンメ(イタリア) | 公式の案内 |
| 12月17日(木)〜20日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
ラムザウ(オーストリア) | 公式の案内 |
| 1月8日(金)〜10日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
クリンゲンタール(ドイツ) | 公式の案内 |
| 1月14日(木)〜17日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
オテパー(エストニア) | 公式の案内 |
| 1月22日(金)〜24日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
ショーナッハ(ドイツ) | 公式の案内 |
| 1月28日(木)〜31日(日) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
ゼーフェルト(オーストリア) | 公式の案内 |
| 2月4日(木)〜6日(土) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
レークプラシッド(米国) | 公式の案内 |
| 2月11日(木)〜13日(土) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
ラハティ(フィンランド) | 公式の案内 |
| 2月25日(木)〜3月6日(土) | FIS ノルディック複合 世界選手権 男女 |
ファルン(スウェーデン) | 公式の案内 |
| 3月11日(木)〜13日(土) | FIS ノルディック複合 ワールドカップ 男女 |
オスロ(ノルウェー) | 公式の案内 |
ノルディック複合の最近の結果
| 日付(現地) | 大会 | 上位(表彰台) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 8月23日(日) | FIS ノルディック複合 グランプリ 女子 個人コンパクト ラージヒル/5 km | 1位 エマ・ボラウシェク(スロベニア) 2位 ナタリー・アームブルスター(ドイツ) 3位 カタリナ・グルーバー(オーストリア) |
公式結果 |
| 8月23日(日) | FIS ノルディック複合 グランプリ 男子 個人コンパクト ラージヒル/7.5 km | 1位 マヌエル・ファイスト(ドイツ) 2位 リヒャルト・シュテンツェル(ドイツ) 3位 ダビド・マッハ(ドイツ) |
公式結果 |
| 8月22日(土) | FIS ノルディック複合 グランプリ 女子 個人グンダーセン ラージヒル/5 km | 1位 カタリナ・グルーバー(オーストリア) 2位 ナタリー・アームブルスター(ドイツ) 3位 エマ・ボラウシェク(スロベニア) |
公式結果 |
| 8月22日(土) | FIS ノルディック複合 グランプリ 男子 個人グンダーセン ラージヒル/10 km | 1位 ファビオ・オーバーマイヤー(オーストリア) 2位 ダビド・マッハ(ドイツ) 3位 リヒャルト・シュテンツェル(ドイツ) |
公式結果 |
| 8月19日(水) | FIS ノルディック複合 グランプリ 女子 個人コンパクト ラージヒル/5 km | 1位 イーダマリー・ハーゲン(ノルウェー) 2位 ナタリー・アームブルスター(ドイツ) 3位 エマ・ボラウシェク(スロベニア) |
公式結果 |
| 8月19日(水) | FIS ノルディック複合 グランプリ 男子 個人コンパクト ラージヒル/10 km | 1位 シュテファン・レッテンエッガー(オーストリア) 2位 イェンスルロース・オフテブロ(ノルウェー) 3位 ビンツェンツ・ガイガー(ドイツ) |
公式結果 |
| 8月16日(日) | FIS ノルディック複合 グランプリ 女子 個人コンパクト ラージヒル/5 km | 1位 エマ・ボラウシェク(スロベニア) 2位 イーダマリー・ハーゲン(ノルウェー) 3位 カタリナ・グルーバー(オーストリア) |
公式結果 |
| 8月16日(日) | FIS ノルディック複合 グランプリ 男子 個人コンパクト ラージヒル/10 km | 1位 イェンスルロース・オフテブロ(ノルウェー) 2位 エイナルルロース・オフテブロ(ノルウェー) 3位 シュテファン・レッテンエッガー(オーストリア) |
公式結果 |
| 8月15日(土) | FIS ノルディック複合 グランプリ 男子 個人グンダーセン ラージヒル/10 km | 1位 イェンスルロース・オフテブロ(ノルウェー) 2位 エイナルルロース・オフテブロ(ノルウェー) 3位 シュテファン・レッテンエッガー(オーストリア) |
公式結果 |
| 8月15日(土) | FIS ノルディック複合 グランプリ 女子 個人グンダーセン ラージヒル/5 km | 1位 イーダマリー・ハーゲン(ノルウェー) 2位 アレクサ・ブラベック(米国) 3位 カタリナ・グルーバー(オーストリア) |
公式結果 |
スキー・スノーボードのほかの競技
アルペンスキー・クロスカントリースキー・スキージャンプ・フリースタイルスキー/フリースキー・スノーボード・山岳スキー(スキーモ)・テレマークスキー・スピードスキー・フリーライド(スキー・スノーボード)・スキー技術選・基礎スキー競技・スキーボブ・スノースクート・パラアルペンスキー・パラクロスカントリースキー・パラスノーボード・スノースケート・スノーモト・モノスキー(一般・立位)・スノーボード技術選・スキーバイク(協会別の形式)・スコール/スクワル
出典
競技の情報の確認日:2026-10-16・大会の情報の確認日:2026-10-17。日程は開催地の日付です。変更があるため、出かける前・見る前に公式の案内をご確認ください。