2026年 冬季五輪の競技
ボブスレー(英語:Bobsleigh)は、そりに分類される冬の競技です。主な種目は2人乗り、4人乗り、モノボブ。試合の形式は個人乗り・複数人乗りがあります。
女子モノボブ等の採用と、競技全体の存在を区別。パラモノボブはPA07。
ボブスレーはどんな競技か
ボブスレーは、鉄の刃(ランナー)が付いたそりに乗り、氷のコースを滑り降りてタイムを競う競技です。コースは長さ1,200〜1,600mほどで、急なカーブが続きます。速さは時速140kmを超えることもあり、「氷上のF1」と呼ばれます。
そりはスタートで選手が走って押し、勢いをつけてから飛び乗ります。前に座る「パイロット」がハンドルにつながるロープでそりを操り、いちばん後ろの「ブレーカー」が、ゴールの後にブレーキをかけます。4人乗りでは、間に2人の「プッシャー」が入ります。
競技は19世紀の終わりごろ、スイスのサンモリッツで、観光客がそりを改造して遊んだのが始まりとされています。冬季五輪では、第1回の1924年シャモニー大会から行われている、とても歴史の長い競技です。男子2人乗りは1932年、女子2人乗りは2002年ソルトレークシティー大会、女子1人乗り(モノボブ)は2022年北京大会から加わりました。国際競技団体は、国際ボブスレー・スケルトン連盟(IBSF)です。
種目とルール
五輪では、男子2人乗り・男子4人乗り・女子1人乗り(モノボブ)・女子2人乗りの4種目があります。
| 種目 | 乗る人数 | ポイント |
|---|---|---|
| 男子2人乗り | 2人(パイロットとブレーカー) | スタートの押しと、パイロットの操作の両方が大切 |
| 男子4人乗り | 4人 | そりが重く、最も速度が出る。4人の息を合わせたスタートが見もの |
| 女子2人乗り | 2人 | 男子2人乗りと同じ形式。女子のトップは男子並みの技術を持つ |
| 女子1人乗り(モノボブ) | 1人 | 全員が同じ規格のそりを使う。1人で押して、1人で操る |
そりと選手を合わせた重さには、種目ごとに上限があります。重いほうが加速しやすいので、上限ぎりぎりになるよう、そりにおもりを積んで調整します。ランナー(刃)を温めて滑りやすくすることは禁じられており、スタート前にランナーの温度が測られます。
モノボブは、各国が同じ規格のそりを使うのが特徴です。そりの開発力の差が出にくく、新しい国の選手も挑戦しやすい種目として始まりました。
順位とタイムの決まり方
五輪や世界選手権では、2日間で4回滑り、4回の合計タイムで順位が決まります。3回目が終わった時点の上位20チームだけが、4回目に進めます。タイムは100分の1秒まで計ります。4回合計で3分40秒前後の勝負でも、0.1秒より小さい差でメダルの色が変わることがよくあります。
ワールドカップは、ふつう2回の合計で順位を決めます。順位に応じた点数を積み重ね、シーズンの総合優勝を争います。
見どころ・観戦のポイント
スタートの5秒
スタートでは、選手が全力でそりを押して走り、次々に飛び乗ります。スタートのタイムが0.1秒遅れると、ゴールでは0.3秒ほど遅れるとも言われます。中継では、スタートからの区間タイムが表示されるので、まずここを見ると勝負の流れが分かります。
パイロットのライン取り
速いチームほど、そりの動きが静かです。カーブの出口でそりが壁に当たったり、左右にふらついたりすると、それだけでスピードが落ちます。カーブを抜けるたびの区間タイムで、どこで差がついたかが分かります。
4回の合計で逆転があるか
1回目に大きくリードしても、4回のうち1回でもミスがあれば順位は変わります。2日目の3・4回目まで、最後まで目が離せません。
コースと会場
ボブスレーのコースは、スケルトン・リュージュと共通で使われることがほとんどです。ドイツのアルテンベルク、ケーニヒスゼー、ヴィンターベルク、オーストリアのインスブルック、スイスのサンモリッツ、ラトビアのシグルダなどが、ワールドカップの常連です。2026年の五輪は、イタリアのコルティナ・ダンペッツォに新しく造られたコースで行われました。
日本のコース「スパイラル」のいま
日本で唯一、そり競技のコースがあるのが長野市の「スパイラル」(長野市ボブスレー・リュージュパーク)です。1998年の長野五輪で、ボブスレーとリュージュの会場になりました。長野市の案内では、コースの総延長は1,700m、標高差は113m、カーブは15か所です。
ただし、氷を張ったコースとしての運営は、2017-18シーズンを最後に休止しています。休止は2017年4月に決まりました。理由は、維持管理費の重い負担です。いまは冬の12月29日から2月末までが休園期間です。
施設には長さ120mのプッシュトレーニング場が残り、夏にはスタートの速さを競う全日本プッシュ選手権が開かれています。コースの道は、ノルディックウォーキングのコース(初心者向け3km・上級者向け5km)としても使われています。氷の上で滑る練習は、海外のコースに行かないとできないのが、日本のそり競技の大きな課題です。
日本のボブスレーと最近の出来事
日本は、1972年の札幌大会から2014年のソチ大会まで、五輪のボブスレーに出場を続けてきました。2026年のミラノ・コルティナ五輪では、男子2人乗りで3大会ぶりの出場を目指していました。
しかし2026年1月13日、日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟は、男子2人乗りで五輪に出られなくなったと発表しました。今大会から、男子の出場枠は2人乗りだけでなく4人乗りの成績も合わせて決める方式に変わっていました。連盟はこの変更を見落とし、4人乗りの海外遠征をしていませんでした。他国の選手の指摘で1月上旬に分かり、国際連盟に救済を求めましたが、認められませんでした。
連盟は記者会見で謝罪し、1月22日には調査結果を公表しました。国際連盟からの変更の連絡は2023年12月にメールで届いていましたが、確認して共有するしくみがなかったこと、選手が確認したときにコーチが誤った内容を伝えていたことが明らかになりました。連盟は「選手に責任はない」としています。日本オリンピック委員会(JOC)も、各競技団体への聞き取りなど、再発防止に乗り出しました。
2026年ミラノ・コルティナ五輪の結果
会場はコルティナ・スライディングセンター。2月15日から22日まで4種目が行われ、日本選手の出場はありませんでした。強豪ドイツが4種目のうち3種目で金メダルを取りました。
| 種目 | 優勝 | ひとこと |
|---|---|---|
| 男子2人乗り | ロホナー組(ドイツ) | ドイツ勢が表彰台を独占。2連覇中だったフリードリヒ組は2位 |
| 男子4人乗り | ドイツB(ロホナーら) | 合計3分37秒57。ロホナーは2人乗りと合わせて2冠。2位ドイツA、3位スイスA |
| 女子1人乗り(モノボブ) | マイヤーズテーラー(米国) | 41歳。5度目の五輪で、6個目のメダルにして初の金 |
| 女子2人乗り | ノルテ、レビ組(ドイツA) | 合計3分48秒46で、北京大会に続く2連覇 |
2026-27シーズンの見どころ
五輪の翌シーズンは、次の2030年フランス・アルプス五輪に向けた新しい4年の始まりです。ワールドカップは11月下旬のドイツ・アルテンベルクで開幕し、インスブルック、コルティナ・ダンペッツォ、ケーニヒスゼー、サンモリッツ、ヴィンターベルク、シグルダと転戦します。2027年2月には、ノルウェーのリレハンメルで世界選手権が開かれる予定です。
五輪で2冠のロホナーと、長く王者だったフリードリヒの「ドイツの2強」の争いがどう続くかが注目です。日本にとっては、五輪の出場枠のしくみを踏まえた強化と、連盟の運営の立て直しが問われるシーズンになります。
よくある質問
Q. ボブスレーとスケルトン、リュージュの違いは?
A. ボブスレーは、ハンドルのある、覆いの付いたそりに座って乗ります。スケルトンは小さなそりに頭を前にして腹ばいで、リュージュはあおむけで足を前にして乗ります。同じコースを使うことが多い競技です。
Q. なぜスタートでそりを押すのですか?
A. そりにはエンジンがないので、スタートの勢いがそのまま全体の速さにつながるからです。陸上の短距離や投てきから転向する選手も多くいます。
Q. ブレーキは滑っている途中で使わないのですか?
A. 使いません。ブレーキはゴールの後に止まるためのもので、走行中にかけるとタイムが大きく落ちます。
Q. 日本で滑っているところを見られますか?
A. 長野のスパイラルは、氷のコースとしての運営を休止しています。氷の上の競技は、海外の大会の中継や配信で見ることになります。
解説の出典
- 国際ボブスレー・スケルトン連盟(IBSF)
- デイリースポーツ「ボブスレー男子2人乗り 連盟失態で五輪消滅」(2026年1月14日)
- 秋田魁新報(共同)「コーチが誤った内容伝達 ボブスレー問題、調査結果公表」
- 北海道新聞(共同)「4人乗りはドイツBが優勝 ボブスレー・22日」
- 北海道新聞(共同)「ドイツAのノルテ、レビ組が連覇 ボブスレー・21日」
- 長野市 ボブスレー・リュージュパーク(スパイラル)
- Number Web(2018年1月23日)スパイラルの休止について
ボブスレーのこれからの大会
| 日程(現地) | 大会 | 開催地 | 案内 |
|---|---|---|---|
| 11月27日(金)〜29日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
アルテンベルク(ドイツ) | 公式の案内 |
| 12月5日(土)〜6日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
インスブルック(オーストリア) | 公式の案内 |
| 12月12日(土)〜13日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
インスブルック(オーストリア) | 公式の案内 |
| 12月18日(金)〜20日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
コルティナダンペッツォ(イタリア) | 公式の案内 |
| 1月16日(土)〜17日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
ケーニヒスゼー(ドイツ) | 公式の案内 |
| 1月22日(金)〜24日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
サンモリッツ(ツェレリーナ)(スイス) | 公式の案内 |
| 1月30日(土)〜31日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
ヴィンターベルク(ドイツ) | 公式の案内 |
| 2月6日(土)〜7日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ 男女 |
シグルダ(ラトビア) | 公式の案内 |
| 2月20日(土)〜27日(土) | IBSF ボブスレー・スケルトン 世界選手権 男女 |
リレハンメル(ノルウェー) | 公式の案内 |
ボブスレーの最近の結果
| 日付(現地) | 大会 | 上位(表彰台) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 1月18日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ | 1位 ラウラ・ノルテ / デボラ・レビ(ドイツ) 2位 カイリー・ハンフリーズ / ジャスミン・ジョーンズ(米国) 3位 キム・カリッキ / ローリン・ジーベルト(ドイツ) |
公式結果 |
| 1月18日(日) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ | 1位 アダム・アムール / イサム・アムール / ヨシュア・タッシェ / アレクサンダー・シャラー(ドイツ) 2位 ヨハネス・ロホナー / トルステン・マルギス / イェルン・ウェンツェル / ゲオルク・フライシュハウアー(ドイツ) 3位 フランチェスコ・フリードリヒ / マティアス・ゾマー / アレクサンダー・シュラー / フェリックス・シュトラウプ(ドイツ) |
公式結果 |
| 1月17日(土) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ | 1位 カイリー・ハンフリーズ(米国) 2位 ブリー・ウォーカー(オーストラリア) 3位 ラウラ・ノルテ(ドイツ) |
公式結果 |
| 1月17日(土) | IBSF ボブスレー・スケルトン ワールドカップ | 1位 ヨハネス・ロホナー / ゲオルク・フライシュハウアー(ドイツ) 2位 アダム・アムール / ベネディクト・ヘルテル(ドイツ) 3位 フランチェスコ・フリードリヒ / アレクサンダー・シュラー(ドイツ) |
公式結果 |
そりのほかの競技
スケルトン・リュージュ・クレスタ競走・パラボブスレー・スポーツローデル・ホルンシュリッテン競走・キックスレッド競走・ショベルレース
出典
競技の情報の確認日:2026-10-16・大会の情報の確認日:2026-10-17。日程は開催地の日付です。変更があるため、出かける前・見る前に公式の案内をご確認ください。