年末年始の恒例、スキージャンプのジャンプ週間が今季も開かれます。2026-27年は75年目の節目で、初めて女子のジャンプ週間も行われます。4戦の合計点で決まる総合順位のしくみと、日本勢の見どころをまとめました。
日程(開催地の日付)
| 日程(現地) | 競技 | 大会 | 開催地 | 案内 |
|---|---|---|---|---|
| 12月28日(月)〜29日(火) | スキージャンプ | FIS スキージャンプ ワールドカップ 男女 |
オーベルストドルフ(ドイツ) | 公式の案内 |
| 2026年12月29日(火)〜2027年1月6日(水) | スキージャンプ | FIS スキージャンプ ワールドカップ 男女 |
ジャンプ週間(ドイツ・オーストリアの4会場) | 公式の案内 |
| 2026年12月31日(木)〜2027年1月1日(金) | スキージャンプ | FIS スキージャンプ ワールドカップ 男女 |
ガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ) | 公式の案内 |
| 1月2日(土)〜3日(日) | スキージャンプ | FIS スキージャンプ ワールドカップ 男女 |
インスブルック(オーストリア) | 公式の案内 |
| 1月5日(火)〜6日(水) | スキージャンプ | FIS スキージャンプ ワールドカップ 男女 |
ビショフスホーフェン(オーストリア) | 公式の案内 |
日程と結果は、競技団体の公式発表から毎日更新しています。
ジャンプ週間とは
ジャンプ週間は、年末年始にドイツとオーストリアの4つのジャンプ台を転戦する大会です。英語ではフォーヒルズ・トーナメントと呼ばれます。1953年に始まり、2026-27年の大会は75年目の節目にあたります。
4戦はどれもワールドカップ(W杯)の個人戦を兼ねています。ただ、ジャンプ週間には独自の総合順位があります。選手にとっては、五輪や世界選手権と並ぶほど価値のあるタイトルです。優勝者には「黄金の鷲(ゴールデン・イーグル)」のトロフィーが贈られます。
大みそかや元日にも試合があるので、ヨーロッパでは年末年始の風物詩になっています。会場には毎年たくさんの観客が集まり、ジャンプの人気の高さがよく分かる大会です。
今季から女子のジャンプ週間が始まる
2026-27シーズンは、初めて女子のジャンプ週間が行われます。FIS(国際スキー・スノーボード連盟)のジャンプ委員会が、2026年5月6日にスロベニアのポルトロジュで開いた会議で正式に決めました。
女子も男子と同じ4つの会場で、すべてラージヒルで戦います。女子の試合は、どの会場でも男子の試合の前の日に行われます。優勝の決め方も男子と同じで、4戦の得点の合計で決まります。女子の優勝者にも黄金の鷲が贈られます。
これまで女子は、ドイツの2会場(オーベルストドルフとガルミッシュ=パルテンキルヘン)だけを回る大会で戦ってきました。この大会では、スロベニアのニカ・プレブツが3回優勝しています。今季の女子ジャンプ週間でも、優勝候補の一人とみられています。
女子が4戦そろわなかった大きな理由は、インスブルックのジャンプ台に照明がなかったことです。インスブルックの試合は夕方から夜に行われるため、照明がないと女子の試合を組めませんでした。2026年1月、チロル州・オーストリア政府・インスブルック市・オーストリアスキー連盟などが照明の費用を出すことで合意し、4戦がそろいました。
4つの会場
4つの会場は、毎年同じ順番で回ります。ドイツの2会場から始まり、オーストリアの2会場で終わります。
| 順番 | 開催地 | 国 | ジャンプ台 | ヒルサイズ |
|---|---|---|---|---|
| 第1戦 | オーベルストドルフ | ドイツ | シャッテンベルクシャンツェ | HS137 |
| 第2戦 | ガルミッシュ=パルテンキルヘン | ドイツ | グローセ・オリンピアシャンツェ | HS142 |
| 第3戦 | インスブルック | オーストリア | ベルクイーゼルシャンツェ | HS128 |
| 第4戦 | ビショフスホーフェン | オーストリア | パウル・アウサーライトナー・シャンツェ | HS142 |
ヒルサイズ(HS)は、そのジャンプ台で安全に飛べるとされる距離の目安です。4つとも大きな「ラージヒル」です。
オーベルストドルフ(第1戦)
ドイツ南部、アルプスのふもとの町です。ジャンプ週間の幕開けを飾る会場で、スキーフライングの大きな台もある「ジャンプの町」として知られています。
ガルミッシュ=パルテンキルヘン(第2戦)
1936年の冬季五輪が開かれた町です。男子の試合は毎年1月1日に行われ、「ニューイヤー・ジャンプ」として親しまれています。元日の昼の試合を楽しみにしているファンも多い大会です。
インスブルック(第3戦)
オーストリアのチロル州の州都です。冬季五輪を2回開いた町で、ベルクイーゼルの台からは町並みを見下ろせます。4つの中ではいちばん小さな台です。風の影響を受けやすく、試合が延期されることもあります。2025-26年の大会でも、試合は1日延びて1月4日に行われました。
ビショフスホーフェン(第4戦)
最終戦の会場です。ここで総合優勝が決まり、表彰式で黄金の鷲が手渡されます。助走路が長く、踏み切りのタイミングが難しい台といわれます。
2026-27年の日程の流れ
今季は、女子が12月28日にオーベルストドルフで最初の試合を飛びます。男子はその翌日の12月29日です。このあとも女子・男子の順に1日ずつずれて進みます。女子はガルミッシュが12月31日、インスブルックが1月2日、ビショフスホーフェンが1月5日です。男子はガルミッシュが1月1日、インスブルックが1月3日、ビショフスホーフェンが1月6日です。各試合の開始時刻は、FISの大会ページで発表されます。
日本はドイツやオーストリアより8時間進んでいます(冬の時期)。現地の夕方に始まる試合は、日本では夜中から明け方になります。現地の昼すぎに始まる試合なら、日本では夜の時間帯です。
総合順位の決まり方
ジャンプ週間の総合順位は、4試合で取った得点をそのまま足し合わせて決まります。1試合は2本のジャンプなので、4試合で合計8本の得点の合計です。
ここがW杯の総合順位とのちがいです。W杯では、1位は100点、2位は80点というように、順位ごとに決まったポイントが配られます。ジャンプ週間では、順位ではなく実際の得点(飛距離点と飛型点など)の合計で比べます。そのため、1試合で失敗すると大きく響きます。1回も勝たなくても、4試合すべてで上位に入り続けた選手が総合優勝することもあります。
得点の差は、ほんの少しのことがあります。2005-06年の大会では、ヤンネ・アホネン(フィンランド)とヤクブ・ヤンダ(チェコ)が同じ得点で並び、2人とも総合優勝になりました。
男子の1本目は「KO方式」
男子のジャンプ週間では、1996-97年の大会から、1本目を2人1組の対決で行う「KO方式」が使われてきました。前の日の予選の上位50人が25組に分かれます。予選1位と予選50位、予選2位と予選49位というように組み合わせます。
各組で勝った25人と、負けた人の中で得点の高い5人(ラッキールーザー)の合わせて30人が2本目に進みます。予選が当日にずれた場合は、KO方式を使わず、ふつうのW杯と同じ形で行います。
日本人の総合優勝
日本人でジャンプ週間の総合優勝を果たしたのは、これまで2人です。
| 大会 | 選手 | ポイント |
|---|---|---|
| 1997-98年 | 船木和喜 | 日本人で初めての総合優勝。直後の長野五輪で金メダル |
| 2018-19年 | 小林陵侑 | 4戦全勝の完全優勝。日本人2人目の総合優勝 |
| 2021-22年 | 小林陵侑 | 3季ぶり2度目の総合優勝 |
| 2023-24年 | 小林陵侑 | 3度目の総合優勝 |
小林陵侑は、日本人で最多の3回の総合優勝を果たしています。2018-19年の4戦全勝は、2001-02年のスベン・ハンナバルト(ドイツ)、2017-18年のカミル・ストッフ(ポーランド)に続く史上3人目でした。この勢いのまま、その季は日本人で初めてW杯の個人総合優勝も果たしました。
さらにさかのぼると、1971-72年には笠谷幸生が最初の3戦で勝ちました。しかし、地元の札幌五輪に備えて最終戦の前に帰国したため、総合優勝はしていません。笠谷はその後、札幌五輪の70メートル級で金メダルを取りました。
前回(2025-26年)の大会
前回の総合優勝は、スロベニアのドメン・プレブツでした。オーベルストドルフとガルミッシュで連勝し、合計1195.6点で逃げ切りました。兄のペテル・プレブツも2015-16年に総合優勝しており、兄弟でそろって総合優勝したのは初めてです。2位はヤン・ヘール、3位はシュテファン・エムバッハーで、どちらもオーストリアの選手です。
日本勢では、二階堂蓮がインスブルックで勝ちました。これがW杯の初優勝で、2位とはわずか0.5点差でした。総合順位は二階堂が4位、小林陵侑が5位です。2人の差は0.4点しかありません。3位のエムバッハーとも30点弱の差で、表彰台まであと一歩でした。
| 選手 | オーベルストドルフ | ガルミッシュ | インスブルック | ビショフスホーフェン | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 二階堂蓮 | 13位 | 4位 | 1位 | 8位 | 4位(1123.5点) |
| 小林陵侑 | 6位 | 5位 | 10位 | 3位 | 5位(1123.1点) |
最終戦のビショフスホーフェンは、オーストリアのダニエル・チョフェニヒが勝ちました。チョフェニヒは2024-25年の総合優勝者です。
2026-27年の見どころ
日本の男子は総合優勝を狙える位置
前回は二階堂と小林がそろって表彰台の近くまで迫りました。二階堂は2026年2月のミラノ・コルティナ五輪で、ラージヒルの銀メダル、ノーマルヒルと混合団体の銅メダルを取りました。大きな台を得意としていて、ジャンプ週間の4会場はどれもラージヒルです。
小林陵侑は北京五輪のノーマルヒル金メダリストで、ジャンプ週間を3回制しています。4試合を大きな失敗なくまとめる力は、合計点で争うこの大会で強い武器になります。日本人選手が2人そろって上位を争えば、総合優勝の可能性は十分にあります。
女子の初代女王はだれに
初めての女子ジャンプ週間で、だれが最初の黄金の鷲を手にするかが最大の注目点です。ニカ・プレブツに加え、日本の丸山希にも期待がかかります。丸山は2025-26シーズンのW杯で開幕から3連勝し、地元の蔵王大会でも勝つなど、季を通して上位で戦いました。ミラノ・コルティナ五輪ではノーマルヒルで銅メダルを取っています。
高梨沙羅も、ミラノ・コルティナ五輪の混合団体で銅メダルを取りました。経験豊富な高梨や伊藤有希が、新しい大会でどんな飛躍を見せるかも楽しみです。
インスブルックの夜の試合
女子にとって、インスブルックの台は初めてのW杯の舞台です。新しい照明の下で行われる夜の試合は、今季ならではの光景になります。小さめの台で風の影響も受けやすく、順位が大きく動く試合になるかもしれません。
日本での放送・配信
2025-26シーズンのスキージャンプW杯は、J SPORTS(テレビとJ SPORTSオンデマンド)が放送・配信しました。J SPORTSオンデマンドの冬のスポーツのパックは、月2,580円(税込み)でした。FISも、公式のYouTubeチャンネルとFIS TVで試合を配信してきました。
2026-27年のジャンプ週間について、日本での放送・配信の予定は10月17日の時点ではまだ発表を確認できていません。決まりしだい、このページに追記します。
観戦をもっと楽しむコツ
- 合計点の差を見る: 1試合ごとの順位より、総合の合計点の差に注目すると、最後まで目が離せません。
- 予選の日も見る: 男子は予選の順位でKO方式の組み合わせが決まります。予選から有力選手の調子が分かります。
- 風に注意: ジャンプは風の向きと強さで飛距離が大きく変わります。得点には風の補正が入るので、飛距離だけでなく合計点で見ましょう。
- 女子と男子を続けて見る: 女子が前の日に同じ台を飛ぶので、台の特徴をつかんでから男子の試合を見ることができます。
出典
- FIS: First women's Four Hills Tournament confirmed at FIS Spring Meetings
- FIS: オーベルストドルフ大会(2026-27)の種目一覧
- FIS: ジャンプ週間(2026-27)の大会ページ
- blue News: Women's Four Hills Tournament approved
- Wikipedia: Four Hills Tournament
- Wikipedia: 2025–26 Four Hills Tournament
- デイリースポーツ: 小林陵侑 3季ぶり総合V
- 日刊ゲンダイ: 小林陵侑ジャンプ週間で完全V 日本人では船木以来の快挙
- テレビ東京: ジャンプ混合団体 日本が初の銅メダル獲得
- スポカレ: FIS W杯の視聴方法(J SPORTS)
競技の情報の確認日:2026-10-16・大会の情報の確認日:2026-10-17。日程は開催地の日付です。変更があるため、出かける前・見る前に公式の案内をご確認ください。